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(2024.03.31 更新)
(2023.05.09 更新) (2020.04.18 更新) 技術士試験 (1)受験申込書、業務内容の詳細の書き方総監の受験申込書の書き方は こちら総監以外の部門の口頭試験は こちら
1. 受験申込書(受験願書)の重要性総合技術監理部門(以下、これを「総監」と称します。)以外の部門における第二次試験受験申込書(受験願書)の重要性は総監のそれと同じなので、「総合技術監理部門講座 (1)受験申込書の書き方」の 1 を御覧ください。 2. 受験申込書(受験願書)の作成方法2.1 受験申込書の入手受験申込書は公益社団法人日本技術士会(以下、これを「日本技術士会」と称します。)のウェブサイトからダウンロードにより入手します。ただ、ダウンロードできるのは 3 月中旬から 4 月中旬までの約 1 カ月間のみであり、これ以外の期間にはダウンロードするためのページが削除されているのでダウンロードできません。2.2 受験申込書の種類受験申込書には 2 つの種類があります。この 2 つを次のように「Excel 申込書」、「PDF 申込書」と呼称することとします。Excel 申込書 受験申込書のうち、Excel ファイルであるもの。
PDF 申込書 受験申込書のうち、PDF ファイルであるもの。
Excel 申込書はマクロによる自動確認機能を有しているので、普通はこちらを用います。PDF 申込書は、Excel の操作に不慣れな人又は Excel マクロを使用できない環境にある人向けのものであり、手書きで作成するためのものです。 2.3 受験申込書の作成手順ダウンロード後、次の (ア) 又は (イ) により受験申込書を作成します。(ア) と (イ) のどちらか一方をすればよく、両方をする必要はありません。(ア) Excel 申込書 (i) ダウンロードした Excel 申込書に、必要事項をパソコンで入力する。 (ii) 入力完了後、Exce l 申込書画面右上にある「入力内容確認および印刷用 PDF 作成」ボタンをクリックする。
(iii) (ii)で作成された PDF ファイルを、印刷する。(iv) (iii)で作成された紙の受験申込書を、日本技術士会へ送付する。 (イ) PDF 申込書 (i) ダウンロードした PDF 申込書を印刷する。 (ii) (i)で作成された紙の受験申込書に、必要事項を手書きで記入する。 (iii) 記入完了した紙の受験申込書を、日本技術士会へ送付する。 上記 (ii) では、Adobe Acrobat などで文字入力する、別途印刷したものを切って貼り付ける、などは不可なので、そのような方法で作成したものを送付しても日本技術士会から返送されます。必ず手書きします。
2.4 受験申込書が求めるものとエラー回避Excel 申込書に入力を始めると、通常、最初はポップアップウィンドウがたくさん出てエラーメッセージが表示されます。このエラーは、入力した内容が「技術士法」が意図するところに正しく則ってないことを示すものです。したがって、正しく入力するためには「技術士法」が何を求めているのかを理解していることが必要です。また、PDF 申込書を用いる場合は、当然ながら、「技術士法」が何を求めているかを理解していなければ合格できるよい受験申込書は作成できません。 以下においては、「技術士法」が何を求めているか、エラーを回避するにはどのようにすればよいかに焦点を当てて解説します。 3. 受験申込書(受験願書)の書き方3.1 業務経歴票の書き方3.1.1 受験申込書が求めるもの3.1.1.1「技術士法」の規定 (1)技術士法 「技術士法」は次の『』内のように規定しています(第 6 条第 2 項)。 『2 次のいずれかに該当する者は、第二次試験を受けることができる。
一 技術士補として技術士を補助したことがある者で、その補助した期間が文部科学省令で定める期間を超えるもの
二 前号に掲げる者のほか、科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者の監督(文部科学省令で定める要件に該当する内容のものに限る。)の下に当該業務に従事した者で、その従事した期間が文部科学省令で定める期間を超えるもの(技術士補となる資格を有するものに限る。)
三 前二号に掲げる者のほか、前号に規定する業務に従事した者で、その従事した期間が文部科学省令で定める期間を超えるもの(技術士補となる資格を有するものに限る。)』
(2)技術士法施行規則上記「技術士法」第 6 条第 2 項に言う「文部科学省令」は「技術士法施行規則」であり、同規則は次の【】内のように規定しています(第 10 条)。
【第十条 法第六条第二項第一号の文部科学省令で定める期間は、総合技術監理部門について受験する場合にあつては通算して七年とし、総合技術監理部門以外の技術部門について受験する場合にあつては通算して四年とする。
2 前項の期間については、法第六条第二項第二号に定める期間を算入することができる。
3 法第六条第二項第二号の文部科学省令で定める期間は、総合技術監理部門について受験する場合にあつては通算して七年(技術士補となる資格を得た後のものに限る。)とし、総合技術監理部門以外の技術部門について受験する場合にあつては通算して四年(技術士補となる資格を得た後のものに限る。)とする。
4 前項の期間については、法第六条第二項第一号に定める期間を算入することができる。
5 法第六条第二項第三号の文部科学省令で定める期間は、総合技術監理部門について受験する場合にあつては通算して十年(既に総合技術監理部門以外の技術部門について技術士となる資格を有する者にあつては通算して七年)とし、総合技術監理部門以外の技術部門について受験する場合にあつては通算して七年とする。
6 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学院修士課程(理科系統のものに限る。)若しくは専門職学位課程(理科系統のものに限る。)を修了し、又は博士課程(理科系統のものに限る。)に在学し、若しくは在学していた者にあつては、第一項、第三項又は前項に定める期間は、当該期間から、その在学した期間(二年を限度とする。)を減じた期間とする。】
3.1.1.2「技術士法」が意味すること上記 3.1.1.1 は条文なので少し分かりにくいですが、極く簡単に要約するとこれらは次の (a)、(b) を言っています。 (a) 年数の要件 総監以外の技術部門の第二次試験を受験するためには、業務に従事した年数が受験申込み時点で次の (ア)〜(ウ) のいずれかに該当することが必要である。
(ア) 技術士補として技術士を補助して業務に従事した期間が、通算 4 年を超える。
(イ) 技術士補となる資格を得たとき以降に指導者の監督のもとに業務に従事した期間が、通算4年を超える。
(ウ) 業務に従事した期間が、通算 7 年を超える。
※1. (ア)〜(ウ) のいずれの場合も、次の (i)、(ii) のいずれかの資格を有していることが必要。
(i) 技術士第一次試験に合格(ii) 文部科学大臣が指定した教育課程を修了 ※2. (ア)〜(ウ) のいずれの期間にも、大学院における研究経歴の期間を、2 年を限度として、算入することができる。「算入」とは「合算」の意。以下同様。
※3. (ア) の期間には (イ) の期間を算入することができる。
※4. (イ) の期間には (ア) の期間を算入することができる。
※5. (ウ) の期間は、技術士補となる資格を得たとき以前のものも含めて通算で 7 年を超えればよい。
以下、「技術士法」第 6 条第 2 項が求める上記 (ア)〜(ウ) 及び※1〜※5を「年数要件」と称します。
(b) 業務内容の要件総監以外の技術部門の第二次試験を受験するためには、上記 (a) の年数要件に示される期間において従事した業務が次の (ア) 又は (イ) に該当することが必要である。
(ア) 年数要件 3.1.1.2、(a)、(ア) で受験する場合は、技術士補として技術士を補助する業務。
(イ) 年数要件 3.1.1.2、(a)、(イ) 又は (ウ)で受験する場合は、科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務。
以下、「技術士法」第 6 条第 2 項が求める上記 (ア)、(イ) を「業務要件」と称します。
したがって、受験申込書に記入する事項のうちで最も重要なこと(つまり、受験申込書が最も強く求めること)は年数要件と業務要件の 2 つを満たしていることを確認できるように受験申込書を記入することであると言っても過言ではありません。これを確認できるように記入するためには、次の 3.1.2、3.1.3 が大切と思われます。 3.1.1.3 日本技術士会の経路①〜経路③ なお、日本技術士会は、「技術士試験の概要」の 5、6、7、8 において、受験資格を上記3.1.1.2、(a)、(ア) のようにして確認することを「経路①」と、同 (イ) のようにして確認することを「経路②」と、同 (ウ) のようにして確認することを「経路③」と、それぞれ呼んでいます。
3.1.2 年数要件を満たしていることの明示 3.1.2.1 年数要件の判定基準 年数要件を満たしているか否かの判定基準は、「技術士法」第 6 条の主旨により、次の (ア) です。 (ア) 業務経歴票の「合計①+②」欄の値が年数要件以上である。 ただ、Excel 申込書では「合計①+②」欄の代わりに「経歴年数合計」欄が表示されているので、Excel 申込書では判定基準は次の (ア′) です。 (ア′) 業務経歴票の「経歴年数合計」欄の値が年数要件以上である。 もちろん、Excel 申込書をPDFファイルに変換したものでは「経歴年数合計」欄ではなく「合計①+②」欄が表示されます。 3.1.2.2 記入上の注意点 (1) 必須注意点 (a)「必須注意点」とは 次の (b)〜(d) は年数要件を満たしているか否かを判定するために大変重要であるため (b)〜(d) のうちの 1 つでも間違うと受験申込書が日本技術士会から返送される又は不合格となる可能性が生じるので、(b)〜(d) は必須です。その意味で、本項では (b)〜(d) を「必須注意点」と称します。
(b) 3.1.2.1、(ア) への合致上記 3.1.2.1、(ア) を満たしていない場合は、通常は、受験申込書提出直後に日本技術士会から申込書が返送されるので試験を受けることができません。「通常は」と言うのは、上記 3.1.2.1、 (ア) を満たしているか否かを全ての受験申込書について点検することは日本技術士会の本来業務ではないので、希には満たしてなくても返送されないこともあるということです。
満たしていないのに返送されなかった場合は、口頭試験において年数要件について多くの試問がなされ不合格となります。
したがって、3.1.2.1、(ア) を満たすように記入することは必須です。
(c) 始期以降のみの記入自分の業務経歴のうち、経路①で受験する場合は技術士補登録日よりも前の、経路②で受験する場合は技術士第一次試験合格日より前の、それぞれ業務経歴を「勤務先における業務経歴」票に記入してはなりません(「技術士試験の概要」の 6、30 ページ、③業務経歴)。
ただし、経路③で受験する場合はこのような制限はありません。全ての期間の業務経歴を「勤務先における業務経歴」票に記入することができます(「技術士試験の概要」の 6、30 ページ、③業務経歴)。
(d) 重複の回避「勤務先における業務経歴」票の「年・月〜年・月」欄に記入した 5 つの期間は、互いに重複することがないように記入しなければなりません。
(e) 上限年数による計算大学院において研究した期間が 2 年を超える場合は、「大学院における研究経歴」の「年月数」欄に記入した値がいくらであるかに関わらず「合計①+②」を計算するときの①の値としては 2 年より大きい値を用いることはできません(「技術士法施行規則」第 10 条第 6 項)。例えば、「大学院における研究経歴」の「年月数」欄に「4 年 5 月」と記入した場合であっても、「合計①+②」を計算するときの①の値としては 2 年 0 月より大きい値を用いることはできません。
(2) その他注意点(a)「その他注意点」とは 次の (b)〜(g) は「技術士法」には何ら規程がないのでこれらに相違しても受験申込書を返送されたり不合格になったりすることはありませんが、業務経歴をよりよく理解してもらうためには留意して記入することが望ましい事項です。その意味で、本項では (b)〜(g) を「その他注意点」と称します。
(b) 古い順の記入一般に業務経歴は古いものから新しいものへと時系列順に見るので、「勤務先における業務経歴」票を見やすくするために、同票の 5 欄(5 行)の記入欄のうち最上欄に最も古い経歴が、最下欄に最も新しい経歴が、それぞれ位置するように記入します。
(c) 研究経歴の記入大学院における研究経歴を加えて初めて年数要件を満たす場合は、大学院における研究経歴を「大学院における研究経歴」欄に記入します。
大学院における研究経歴を加えるまでもなく勤務先における業務経歴のみで年数要件を満たす場合は、大学院における研究経歴を記入しません。これは、「大学院における研究経歴の期間を含めないと受験資格を満たさない方のみ入力」と Excel 申込書に示されていることによります。
(d) 可能な限り全経歴の記入自分の経歴上、上記 3.1.1.2、(a)、(ウ) で受験する場合は、例えば次の (ア)〜(ウ) のような記入方法が可能です。
(ア) 最もよく合致する期間のみの記入
これは、業務経歴のうちから業務要件に最もよく合致する業務に従事したいくつかの期間のみを抽出して、それらの期間の合計が年数要件を満たすように記入する記入方法です。例えば、2004 年に入社して 2024 年までずっと業務要件に合致する業務に従事した場合で、かつそのうちの 2010 年〜2015 年、2019 年〜2024 年の 2 つの期間(合計で 10 年)においてのみ業務要件に最もよく合致する業務に従事した場合に、これら 2 つの期間のみを記入します。これは、業務要件に最もよく合致する業務について記入することが大切であるという考えに基づくものです。
(イ) 直近の 10 年程度のみの記入
これは、業務経歴のうちから直近の 10 年程度を抽出して記入する記入方法です。例えば、2004 年に入社して 2024 年までずっと業務要件に合致する業務に従事した場合に、2014 年〜2024 年の 10 年間のみを記入します。これは、通常は、業務要件によりよく合致する業務に従事したのは古い時代ではなく最近(つまり、若い頃ではなく、経験を積んで部下を指導するようになってから)であることが多いこと、古い時代の規程、基準、指針などのうちには現在では既に用いられていないものもあるためそのような古い規程、基準、指針などに基づいて実施した業務経歴を現時点で評価することには若干の困難が伴うことなどにより、直近の経歴を詳しく記入することが大切であるという考えに基づくものです。
(ウ) 全期間の記入
これは、業務要件に合致する業務に従事した全期間を記入する記入方法です。例えば、2004 年に入社して 2024 年までずっと業務要件に合致する業務に従事した場合に、2004 年〜2024 年の全期間を記入します。これは業務経歴をよく理解してもらうためには全期間を記入することが大切であるという考えに基づくものです。
上記 (ア)〜(ウ) のいずれの記入方法でも、「合計①+②」欄は 10 年以上になるので、年数要件の点からは問題ありません。
ただ、(ア) のように記入すると、試験委員は「この記入されてない期間は一体何をしていたんだろう。」と疑問を持ち、その記入されてない期間について口頭試験の席上で質問し、解答を聞いた後で「そんなことなら、そうだと分かるように全期間を書いておけよ。余計な心配をするじゃないか。」と思うのではないかと推測されます。つまり、試験委員に負担がかかり、また貴重な口頭試験の時間がそれだけ消費されます。そのようなことを避けるために、業務要件にさほどよくは合致しない業務に従事した期間についてもできるだけ記入しておき、業務経歴票記入内容を読んだだけで自分の経歴全体をよく理解して貰えるようにしておくのがよいと思われます。つまり、(ア) は避けるのがよいと思われます。
上記 (イ) のように記入すると、試験委員は「ここに記入されているより前の期間も、多分、同様の業務をしていたんだろうな。」と思うと推測されます。(イ) は (ア) 程の不自然さがないので記入されているより前の期間について質問はしないかもしれませんが、受験者の経歴について推測の領域が試験委員の気持ちの中に残ります。したがって、できれば (イ) も避けるのがよいと思われます。
上記 (ウ) のように記入すると、経歴については何も不明点がありません。一目瞭然です。そのため、(ア)、(イ) よりも (ウ) の方が安心して受験者の経歴の評価をすることができます。
つまり、(ア)、(イ) はこれでも不合格にはならない記入方法であり、(ウ) は試験委員に優しい記入方法です。したがって、特別の事情がある場合を除いて、(ア)、(イ) はお勧めできません。可能な限り (ウ) で記入するのがよいと思われます。
(e) 経路の選択「技術士法」は、上記 (ア)〜(ウ) の 3 つの記入方法に何らの優劣の差を設けていません。このことと上記 (ア)〜(ウ) とにより、経路①〜③のいずれで受験することも可能な場合は、できるだけ経路③で受験するのがよいと思われます。
また、経路①、②では添付する必要のある証明書を経路③では添付する必要がないため、その点からも経路③がよいでしょう。
また、経路①での受験資格を有する人は経路②での受験資格も有していることが多いと推測されます。経路①で受験する場合には「実務経験証明書」の「業務内容の詳細」には指導技術士を補助した内容を書くことになりますが、指導技術士は自分と同じ選択科目の技術士であることが多いためこれを補助しつつ自己技量成果(3.2、(3)、(c)、(ア)〜(オ))を上げたことを示すことは簡単ではありません。したがって、経路①、経路②の両方の受験資格を有している人は、経路②で受験した方が有利ではないかと推測されます。
(f) 日本技術士会の指示日本技術士会は「科学技術に関する業務について 7 年を超える実務経験を有している方は、「【経路 3】7 年を超える実務経験」を使用してください。」としています(「技術士試験の概要」の 7 の「Q:受験申込み案内(冊子版)に申込書様式が 3 種類ありますが、どれを使用してよいかわかりません。」)。
日本技術士会のこの指示は、この指示に反したら受験申込書を受理しないとか不合格になるとかの意味ではなく、可能な限り経路③で申し込むのがよいという意味である(つまり、推奨、助言である)と解されます。そして、このような推奨、助言をする理由は、3.1.2.2、(2)、(d) と同様ではないかと推測されます。
(g) よく合致した期間の詳述「勤務先における業務経歴」欄は 5 欄(5 行)しかないので、業務経歴が 20 年のような長期間である場合は全ての経歴を詳細に記入することは困難です。したがって、業務経歴が例えば 20 年の場合は例えば次の (ア)、(イ) のようにします。
(ア) 10 年間のみよく合致する業務を行った場合
20 年間のうちの 10 年間のみ業務要件によく合致する業務を行った場合は、よく合致した業務を行った 10 年間をできるだけ多くの欄を用いて詳細に書き、それ以外をできるだけ少ない欄を用いてまとめて書きます。これは、上記3.1.2.2、(2)、(d)、(ア) と同様の考えに基づくものです。
(イ)全期間にわたってよく合致した業務を行った場合
20 年の全期間にわたって業務要件によく合致した業務を行った場合は、直近の 10 年間程度以外の全経歴をまとめて 1 欄目に記入します。こうすると、多くの場合、1 欄目の「地位・職名」欄には「技術員、係長、課長等」などと複数の名称を記入し、「業務内容」欄には「○○の設計、○○の分析、○○の評価等」のように複数の業務内容を記入し、もしその間に転職していた場合は「勤務先」、「所在地」欄にも複数の名称を記入することとなります。また、いずれの欄においても、その全てを書ききれない場合は一部を省略したうえで「等」を付けて記入することとなります。そして、直近の 10 年間程度を残りの 4 欄を用いて詳細に書きます。これは、上記3.1.2.2、(2)、(d)、(イ) と同様の考えに基づくものです。
3.1.2.4 第一次試験の早期合格これは業務経歴票の書き方ではなく第二次試験受験方法ですが、既にお分かりのように、技術士第二次試験を受験するためには第一次試験に合格していることが必須であり、また第一次試験を受験するために必要な資格はないので第一次試験は誰でも受験することができます。したがって、技術士資格取得を思い立ったら何はともあれまず第一次試験を受験することをお勧めします。在学中に取得されるのが最もよいと思われます。
3.1.3 業務要件を満たしていることの明示 3.1.3.1 業務要件の判定基準 業務要件を満たしているか否かの判定基準は、「技術士法」第 6 条の主旨により、次の (ア)〜(ウ) の 3 つが合致していることです。 (ア) 技術部門、選択科目、専門とする事項 (イ) 業務経歴票の記入内容 (ウ) 業務詳細 3.1.3.2 専門とする事項 「専門とする事項」をどのような文言で書くかの決まりはないので、「技術士試験の概要」の 6 の「選択科目表」を参考にして、自分で判断して書きます。また、「その他」、「など」のような明確性を欠く文字列は「専門とする事項」の文言中に含めないのがよいと思われます。 3.1.3.3 記入上の注意点 (1) 必須注意点 (a)「必須注意点」とは 次の (b)〜(d) は、このうちのいずれか 1 つにでも反すると業務要件を満たしていないことになり不合格となるので、(b)〜(d) は必須です。その意味で、本項では (b)〜(d) を「必須注意点」と称します。
(b) 業務経歴票との合致上記 3.1.3.1、(ア)〜(ウ) の 3 つが合致しているか否かの判定は口頭試験において試験委員が行います。満たしていないと試験委員が判断した場合は不合格となり、ある程度合致するがあまりよく合致しない場合は多くの質問を受け窮地に立つことになります。したがって、口頭試験に合格するためには上記 (ア)〜(ウ) の 3 つが合致するように記入することが必須です。
業務要件を満たしているか否かを判定する上で第 1 に重要なことは、「技術部門、選択科目、専門とする事項」と「業務経歴票の記入内容」とが合致していることです。この 2 つが合致するように記入します。
どの選択科目を選べばよいのかが分からない場合には、次の (ア)、(イ) などによって確認します。
(ア) 過去問題の参照数年分の過去問題を見て、最もよく解けそうな選択科目が正しい選択科目である可能性が高いと思われます。
(イ) 業務内容の詳細の作成3.2 を参考にしていくつかの業務詳細を完成します。例えば、これなら合格するのではないかと思われる 3 個程度の自己技量成果(3.2、(3)、(c)、(イ)〜(オ))を選んで、それぞれについて業務詳細を作成します。そのうちの最も書きやすいと感じた業務詳細が該当する選択科目が正しい選択科目である可能性が高いと思われます。
(c) 業務詳細との合致第 2 に重要なことは、「技術部門、選択科目、専門とする事項」と「業務詳細」とが合致していることです。この 2 つが合致するように記入します。
例えば選択科目ですが、業務詳細が道路建設における環境影響評価である場合に選択科目を「道路」とすると、選択科目の設定が正しくないとみなされて不合格になります。この場合は、選択科目を「建設環境」としなければなりません。また例えば、業務詳細がトンネルの施工計画、施工設備、積算である場合に選択科目を「トンネル」とすると、同じ理由で不合格になります。この場合は、選択科目を「施工計画、施工設備及び積算」としなければなりません。選択科目と業務詳細とは一方を先に決めて他方をそれに合わせるというものではなく、選択科目と業務詳細の最適な組み合わせを選択することが大切と思われます。
(2) その他注意点(a)「その他注意点」とは 次の (b)〜(i) は、「技術士法」には何ら規程がないのでこれらに相違しても受験申込書を返送されたり不合格になったりすることはありませんが、業務経歴をよりよく理解してもらうためには留意して記入することが望ましい事項です。その意味で、本項では (b)〜(i) を「その他注意点」と称します。
(b) 個別業務又は業務範疇の記入「業務内容」欄には、1 つの「業務内容」欄に記入する業務が 1 つである場合には例えば次の (ア) のように個別業務を記入し、多数である場合には例えば次の (イ) のように業務範疇を記入します。
(ア)○○地整管内の計○○の一級水系の想定氾濫区域の人口、資産等の解析。全国統一法に新規観点を加味。
(イ) 河川現況解析、大規模土砂移動解析、河川堤防設計、干拓地樋門設計等及びその指導
上記 (イ) では「河川現況解析」、「大規模土砂移動解析」などが業務範疇です。ですから、例えば複数個の河川現況解析業務を行った場合も単に「河川現況解析」と記します。また、業務範疇が多数あって全部を書ききれない場合は上記のように「等」を用いて他にもあることを示します。
上記 (イ) で「業務内容」欄に業務範疇を記入した場合はどの個別業務について「業務内容の詳細」欄に記入したのかが分かりませんが、それが分かるほど詳しく書けるスペースが「業務内容」欄にはないので、分からなくて構いません。
(c) できるだけ詳細な記入「業務内容」欄は、自分が技術士に相応しいことをいわば訴え、宣伝するために記入するのですから、次の (ア)、(イ) のように記入します。
(ア) 60 字の記入「業務内容」欄の制限字数である 60 字をできるだけ目一杯用いて、詳しくかつ分かり易く記入します。
(イ) 5 欄の十分な活用できるだけ 5 欄全部を用いて、詳しくかつ分かり易く記入します。例えば、入社以来 4 年しか経ってなくてその間ずっと無役の技術員であり、転勤もなく、業務内容も同じであったなど業務経歴が短い場合は、最も簡単に書こうとするなら「勤務先における業務経歴」のいちばん上の 1 欄だけに記入すれば済みますが、そのような場合でも業務要件を十分に満たしていることをよく理解してもらえるように「業務内容」欄に記入する文言を工夫することによりできるだけ 5 欄全部を用いて、詳しくかつ分かり易く記入します。
(d) 経験年数の短い選択科目(ア) 受験の可否 選択科目に合致した業務の経験年数が年数要件を満たしていなくても、業務経歴票に記入した業務経歴全体で年数要件、業務要件を満たしてさえいれば、何ら問題ありません。例えば、道路に関連した業務の経験年数が 1 年しかなくても、年数要件、業務要件を満たす業務経験が 10 年ありこれを業務経歴票に記入した場合は、建設部門の「道路」で受験することは何ら問題ありません。理由は、選択科目に合致した業務の経験年数が年数要件を満たさない場合には受験できないとする規定は「技術士法」にはないからです。
(イ) 選択理由等の明示ただ、そのような場合は口頭試験において試験委員がその点を集中的に試問する可能性が強いので、次の (i)〜(iii) に留意します。
(i) 業務経歴の明示その経験年数の短い選択科目に関連する業務経歴を業務経歴票に詳細に記入します。
(ii) 自己技量成果の明示その選択科目に関連する十分な自己技量成果(3.2、(3)、(c)、(ア)〜(オ))を上げていることを業務詳細、口頭試験において明確に示します。
(iii) 選択理由の明示何故経験年数の短い選択科目で受験したのかと口頭試験で試問された場合は、「この選択科目の業務で最も大きな成果を上げたから。」、「会社としてはこの選択科目の分野が弱いので、自分がこの分野の強化の役に立ちたいから。」など、選択科目選定理由を明確に示します。
(e) 業務内容末尾文言「技術士法」は技術士とは「計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」を行う者としている(第 3 条第 1 項)ので、「業務内容」欄に記入する文言の末尾は、できるだけ、これらの文言とします。例えば、「○○の計画」、「○○の設計の指導」などのようにします。
もし経路①で受験する場合は文言の末尾は「補助」となりますが、その場合でも「補助」の直前は、できるだけ、これらの文言とします。例えば、できるだけ、「○○の計画の補助」、「○○の設計の指導の補助」などのようにします。
ただ、このように記入してないからといって若干でも不利になるということはありません。あくまで、このようなことにも留意して記入したいという程度のことです。
なお、当然ですが、設計業務をしてないのに設計業務をしたなど経歴詐称に当たるような記入をすると「技術士法」第 9 条により合格取り消しとなるので注意します。
(f) 単純技術業務の記載の回避単なる試験機器操作、単なる数値計算、単なるデータ入力など単純技術業務は、やむを得ない場合を除き、業務経歴票に記入してはならないと思われます。
これは、単純技術業務は「計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」(「技術士法」第 3 条第 1 項)に該当しないからです。
(g)「地位・職名」欄へ記入する文言「地位・職名」欄には、「主任」、「係長」、「部長」など地位・職名を表す文言を記入します。入社したてで役職に就いてない場合は「技術員」「技師」などと記入します。
ただし、経路①で受験する場合のみは、「地位・職名」欄には「技術士補」と記入し、「勤務先」欄には指導技術士の勤務先を記入します(「技術士試験の概要」の 6、34ページ)。
(h)「地位・職名」欄への立場の記載の回避「「地位・職名」欄に、上記 (g) に加えて次の (ア) を併記すると年を経るに従って業務実施上重要な立場に立つようになったことを示すことができてよい印象を与える。」と考えるかもしれませんが、(ア) を併記することはしてはならないと思われます。
(ア)「補助担当者」、「主担当者」、「リーダー」、「総括責任者」などその業務に携わったときの立場を表す文言
これは、「地位・職名」欄はその受験者の技術的な経歴の詳細をではなくその受験者が受験資格を満たしているか否かを知るために設けられているものであり単に地位・職名を記せばそれで十分であると推測されること、もし「地位・職名」欄が立場の記入を求めているのであれば「業務内容の詳細」欄がそうであるように立場について記せとの指示があるはずであるが受験申込書にはそのような指示はないこと、指示されていない事項を記入すると煩雑となるが業務経歴票のような簡潔かつ一目瞭然を要する書類においては煩雑さを極力避けなければならないことなどの点から見て、(ア) を併記したとしてもそれは「地位・職名」審査結果には何ら影響を与えないだけでなく、「地位・職名」を無用に煩雑にすると推測されることによります。
また、同様の理由により、「地位・職名」欄に (g) に代えて (ア) のみを記入することもしてはならないと推測されます。
(i)「業務内容」欄への成長の跡の記載の回避「若い頃は補助的業務に就くことが多かったが年を経るにつれて指導の業務に就くことが多くなって来たこと(つまり、受験者の成長の跡)が読み取れるように「業務内容」欄に調整して記入すると近年は高度な業務に多く就いていることを示すことができてよい印象を与える。」と考えるかもしれませんが、このような調整はしてはならないと思われます。
これは、「技術士法」は単に「計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」とのみ規定しており(第 3 条第 1 項)「計画、研究、設計、分析、試験、評価」と「これらに関する指導の業務」との間に何らの優劣関係も設けていないので近年は指導の業務に多く就いていることを示してもその分だけ有利になることはないと推測されること、多くの人は年を経るにつれて指導の業務に多く就くようになりその逆の人はまずいないのでそのようなことをわざわざ示す必要性が低いこと、受験者が所属する組織の性格によっては就職直後の若い頃から指導の業務に就くこともあれば年を経ても指導の業務には就かないこともあるのでそのような所属する組織の性格に大きく依ることを合否判定の判断材料とするのは明らかに誤りであることなどの点から見て、成長の跡が読み取れるように「業務内容」欄に記入したとしてもそれは「業務内容」審査に何らプラスの影響を与えないだけでなく、調整された「業務内容」は正常な審査を阻害する可能性があると推測されることによります。
3.2 業務詳細の書き方(1) 技術部門、選択科目、専門とする事項との合致受験申込書に記入した技術部門、選択科目、専門とする事項と業務詳細とが合致しない場合は、口頭試験で不合格となります。ある程度合致するがあまりよく合致しない場合は、口頭試験で多くの質問を受け窮地に立つことになります。したがって、よく合致する業務詳細を、かつ合致していることがよく分かるように記入します。
通常は受験申込書に記入する事項のうちでは業務詳細が最も作成しにくいので、業務詳細をまず完成して、その後にその内容に合致する技術部門、選択科目、専門とする事項を決めるのが順番としては進めやすいかもしれません。
(2) 目次構成
業務詳細は、その内容が一目瞭然に分かるようにするために、次のような目次構成で書きます。
業務名業務内容 立場、役割 課題 技術的提案 成果 (3) 業務名 「業務内容の詳細」欄には、「対象経歴」欄で選択した業務について業務詳細を記入します。
もし、3.1.3.3、(2)、(b)、(ア) の方法で記入していた場合は「業務内容」欄に業務名称が示されているので業務概要がだいたい分かりますが、 (イ) の方法で記入していた場合は、全く分かりません。したがって、「業務内容の詳細」欄の1行目には「業務名」という項目を設けて、「対象経歴」欄で選択した業務のうち「業務内容の詳細」欄に書く業務の名称を、例えば次の(ア)〜(ウ)のような形で、記入します。
(ア) 令和○○年度○○市下水道実施設計、総延長○○ km(イ) ○○道路○○橋梁の実施設計 (ウ) ○○県○○ダムの設計 (4) 業務目的 (3) だけでは何のためにその業務を実施したのかがわかりにくい場合は、その業務を実施した目的を書きます。ただ、何のためにその業務を実施したのかが (3) だけで十分に分かる場合は「業務目的」の項は不要です。
(5) 立場、役割「立場」とは、その業務を補助担当者、主担当者、責任者、リーダー、管理技術者、総括責任者、調整役などのいずれとして実施したかです。ただ、技術士に求められるのは「高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」(「技術士法」第3条)を自ら行う能力であるため、補助担当者としてよりも主担当者、責任者、リーダー、主任技術者、管理技術者、総括者、調整役などとして実施したと記述した方が評価が高くなるので、できるだけそのように記述します。どうしても補助担当者としか書けない場合は、補助担当者ではあるが実質上責任者として業務を実施した旨、又は業務全体から見れば補助担当者であるが業務詳細に書いた部分については責任者であった旨を明示します。
「役割」とは、当該業務のうちのどの部分を担当したかです。
「立場と役割」は分かりさえすればよいので、字数節約のために両方をまとめて 1 行程度で簡単に書きます。例えば、「立場、役割 責任者として業務全体を担当した。」のように書きます。
(6) 課題当該業務を遂行するうえで大きな障害となった事項(つまり、それを解決したのでその業務を無事に完了することができた事項)を記述します。例えば、「路線上に存在が予想される湧水帯の処理、市の重点施策であるライフサイクルコストの最小化。」などです。
(7) 技術的提案上記の課題を解決するために自分が行った技術的提案を記述します。
(8) 成果(a) 記述内容 上記の技術的提案を実施した結果得られた技術的成果を記述します。
(b) 記述上の留意点(ア) 自己技量成果の記述 「成果」としては「自分の技量で上げた成果」、つまり「自分が工夫して自分のアイディアで得た成果」、つまり「もし自分が携わっていなければ失敗に終わっていたであろう業務を自分の力で成功へと導いた成果」(以下、これを「自己技量成果」と称します。)を記述します。
自己技量成果は、「技術士として十分な業務実績」、「技術士にふさわしい業務実績」、「技術士資格を既に有している者が上げるであろう業務実績と同等の業務実績」とも言えます。
自己技量成果は、仕様書や上司からの指示によるのではなく、自分で業務実施上の問題点を見出し、自分でその解決案を立案し、自分でその解決案を実行して業務を成功へと導いて行くことができることの証明です。つまり、自力で「計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」(「技術士法」第 3 条第 1 項)を行うことができることの証明です。
自己技量成果は、受験者から見ると「これだけの成果を上げたのだから技術士と同等の能力を有しているということだ。だから技術士資格をよこせ。」という請求書であり、試験委員から見ると技術士に相応しいか否かを判断する最も重要な判断材料の 1 つです。明確に記述します。
(イ) 自己技量成果の源は「困った」、「おかしい」 自己技量成果と言われてもそんなものはないと思うかもしれません。しかし、1 つの業務を実施する過程では、必ず 2 つや 3 つは問題が生じたはずです。問題とは「困った」、「おかしい」です。「困った」とは、例えば予算が足りない、工期が短すぎる、実験結果が予想に反したものとなった、先行業務に誤りがあることが判明したが今からではそれを修正できない、会社として初めての海外業務であり事情が全くつかめない、利害関係者が多くて意見調整ができない、‥‥ などなどです。「おかしい」とは、例えば仕様書のとおりに実施すると多額の無駄な経費をかけることになる、この業務は通り一遍のやり方で何の問題もなく完了すると予測されるがそれでいいのか、‥‥ などなどです。別の言い方をすると、「困った」、「おかしい」は 3.2、(6) に言う「課題」です。
しかし、今は既にその業務を完了しているのですから、その問題が生じたときに何らかの工夫をしてそれを解決したはずです。その解決の過程と結果が自己技量成果です。ですから、自己技量成果は探せばいくらでもあるはずです。
それらのうちから最も大きな成果を上げたものを「業務内容の詳細」欄に記入します。最も大きな成果を上げたものとは、その業務が実行不能になるほどの大問題を解決したもの、最も高度な知識・技術・見地・判断力などによって達成したもの、最も多額の経費削減を達成したもの、最も大きな品質改善を達成したもの、それまでの考え方を最も大きく転換したものなどです。
したがって、自己技量成果は誰でも書けることです。
(ウ) 数値による記述 自己技量成果は、試験委員がよく理解できるようにするために、可能な限り数値で記述します。例えば、「材料を大きく節減することができた」ではなく、「材料を約 51 kg、約 36 % 節減することができた」のように記述します。
(エ) 自己技量成果の高低、大小は不問もし自己技量成果が高度技術に関する成果、巨額の経費削減を達成した成果、大型業務における成果などであればそれに越したことはありませんが、このようなことは自己技量成果に求められる必要条件では全くありません。例えば、この成果は低度技術に関する成果だから、僅かな経費削減しか達成しなかったから、小規模業務での成果だから、などの理由で自己技量成果として書くのをためらうのは誤りです。そのような成果であっても、それが自らの自己技量成果でありさえすれば「成果」として記述するに十二分に値するものであると思われます。
これは、例えば高度技術に関する業務を担当すれば自己技量成果も高度技術に関するものとなるなど自己技量成果の高低、大小は自分がどのような業務を担当するかに大きく依っており、かつ自分がどのような業務を担当するかは自分が所属する組織の特性、組織内での上司の指示、転勤など自分の希望や力では選択することができない条件によるところが大きいからです。自分の希望や力では選択することができないことを技術士試験の合否判定の判断材料とするのは明らかに誤りだからです。別の言い方をすると、技術士として相応しいか否かは自己技量成果をもたらした工夫の過程によって判断されるからです。
(オ) 自己技量成果の新旧は不問もし自己技量成果が最新の技術に関する成果、最近に実施した業務における成果などであればそれに越したことはありませんが、このようなことは自己技量成果に求められる必要条件では全くありません。例えば、この成果は古いから、ずっと以前の業務の成果だから、などの理由で自己技量成果として書くのをためらうのは誤りです。確かに、試験委員の側から見ると、古い技術に関する成果、ずっと以前に実施した業務における成果の評価には、当時の社会の技術水準、指針・規定等が現在とは異なるので若干の困難が伴います。しかし、それが自らの自己技量成果でありさえすれば「成果」として記述するに十二分に値するものであると思われます。
これは、業務を実施した時点の社会の技術水準、指針・規定などを基礎としてそれにどの程度の工夫、改善を加えたかが技術士として相応しいかどうかの判断基準であるからです。業務を実施した時点がいつであろうとも、「それにどの程度の工夫、改善を加えたか」には違いがないからです。別の言い方をすると、技術士として相応しいか否かは自己技量成果をもたらした工夫の過程によって判断されるからです。
(カ) 自己技量成果の確定・未確定は不問自己技量成果は、その妥当性が客観的に確定した時点のものであることが望ましいです。例えば、橋梁基礎地盤設計が自己技量成果である場合、その設計に基づいてその橋梁の建設が完了し、供用開始され、その後一定期間支障なく運用された時点(つまり、橋梁基礎地盤設計の妥当性が客観的に確定した時点)のものであることが望ましいです。これは、客観的に確定した時点のものであれば試験委員はその自己技量成果の妥当性を検証する必要性が低いためその自己技量成果を安心して評価することができるからです。
しかし、その妥当性が客観的に確定した時点のものであることは自己技量成果に求められる必要条件では全くありません。例えば、橋梁基礎地盤設計が自己技量成果である場合、橋梁基礎地盤設計しか完了しておらず建設には全く未着手である時点のものであっても「成果」として記述するに十二分に値するものであると思われます。これは、例えば橋梁基礎地盤設計が完了してからその橋梁が一定期間支障なく運用されるまでには短くても数年の、長い場合はそれよりもはるかに長期間の時間が必要であるなど一般に自己技量成果の妥当性が客観的に確定するにはかなりの時間が必要ですが、若い受験者の場合はそのような時間がない場合が多いからです。受験者が若いことをもって受験者に不利な判断材料とするのは明らかに誤りだからです。
(キ) 既定方針に従って実施したことの記述の回避既定方針に従って業務を実施したことのみを「成果」として書くことは控えなければなりません。例えば、次の (i)〜(vi) などのことは控えなければなりません。
(i) 実施した業務の数量、工期、実施方法、結果などのみを書く。
(ii) 仕様書、特記仕様書、客先からの要望などによく合致するように実施したことのみを書く。
(iii) 関係する多数の規程、基準、指針、ガイダンスなどを漏れなく調べ上げてそれら全てによく合致するように実施したことのみを書く。
(iv) 工期の短い大型業務を工期内に遅滞なく実施したことのみを書く。
(v) 新技術や高度な技術を採用して実施したことのみを書く。
(vi) 上記 (i)〜(v) のうちのいくつか又は全部を組み合わせた内容のみを書く。
これは、このようなことは技術士でなくても行うことが十分に可能だからです。つまり、このようなことは「成果」の項が求めていることとは無縁だからです。
(ク) 他からの評価のみの記述の回避 「客先から○○のお褒めの言葉を頂戴した。」、「○○賞を受賞した。」などのことを記述するのは構いませんが、これは単なる他からの評価です。自己技量成果ではありません。他からの評価を記述する前に必ず自己技量成果を具体的に記述することが大切であり、それを十分に記述することのないまま他からの評価を「成果」として記述することは控えなければならないと思われます。当該業務に関連しての資格取得、特許取得、論文発表なども同様と思われます。
これは、その「成果」が技術士試験合格に相応しいものであるか否かの判断は試験委員の専決事項であって試験委員以外が行うことではないからです。つまり、他からの評価はあくまで刺身の妻だからです。
もし、業務実施結果に関連した論文を業務詳細に書く場合で、かつその論文が共著である場合は、自分が筆頭著者である論文を書くようにします。これは、一般に、筆頭著者以外は責任者としてその研究を実施したとは認められにくいからです。
(ケ) 口頭試験への布石(i) わくわく感の付与 口頭試験においては業務詳細を口頭で説明することを求められる場合があります。この説明のときにはわくわく感を持たせるように説明することが大切です( 「第二次口頭」の 3.2、(3) )が、そのためには、同項の (ア)、(イ)、(ウ) の 3 点を明確に、かつストーリー性を持たせて業務詳細において記述しておくことが大切と思われます。
(ii) コンピテンシー口頭試験ではコンピテンシー( 「第二次口頭」の 5. )について試問されるので、業務詳細の文中には書きませんが、コンピテンシーについてどのように取り組んだかを整理して口頭試験に備えておきます。
また、業務詳細には書かず業務経歴票のみに書いた業務についても、コンピテンシーについて整理しておきます。
(コ) 自己完結度高い記述試験委員は業務詳細を読んだときにその内容に疑問や不審を持つとそれを解消するために口頭試験の場で多くの質問を発するので、業務詳細を記述するに当たっては、「そこそこ書いておこう」、「口頭試験での説明のための資料集の形にしておこう」、「気楽に行こう」のような考えは禁物です。試験委員がその内容に疑問や不審を持たないように、細心かつ最大の注意を払って、分かりやすく、論旨明快に、自己完結度高く仕上げる必要があると思われます。
(サ) 立場の明示経路①で受験する場合は、業務を技術士の指導の下に実施してきたことがよく分かるように記述するのがよいと思われます。
ただ、これは業務を指導技術士の言うとおりに実施したと記述することではありません。技術士の指導を受けつつも、自己技量成果を十分に上げて業務を成功に導いたことがよく分かるように記述します。
(シ) 技術士の方の意見の拝受技術士が何百人もいるような大きな組織の多くでは組織としての受験支援体制も確立しておりまた自分の受験予定の選択科目と同じ選択科目の多数の技術士が日頃から机を並べて業務をしているので受験に関する相談もし易く、その意味で、自分の受験予定の選択科目と同じ選択科目の技術士が組織全体で 1 人もいないような小さい組織に所属する受験者は少し不利な状況にあることは否めません。業務詳細についてこの不利を埋めるためには外部の技術士の方の援助を仰ぐことも一策と思われます。このような援助を有料、無料で行っている組織もあるようですので、御相談されるのがよいかもしれません。
業務詳細を見てもらう場合には、完成後に、自分と同じ選択科目の、経験の深い、複数の技術士の方に見てもらいます。
技術士の方に見てもらうのは、自分で書いた業務詳細の問題点を口頭試験で試験委員が指摘し、質問してくるわけですが、そのような問題点に自分では気づかないこともあるからです。
自分と同じ選択科目の技術士の方に見てもらうのは、選択科目が異なると頂く御意見が上滑りになり技術的内容に踏み込んだ御意見を頂けないからです。例えば、自分が「鋼構造及びコンクリート」で受験する場合に「土質及び基礎」の技術士の方に見てもらっても技術的内容に踏み込んだ御意見を頂けないからです。
経験の深い方に見てもらうのは、技術士試験合格直後のほやほやの方と合格後に更に 10 年、20 年の長期間の経験を積んだ方とでは自ずと着眼点が大きく異なり、しかも試験委員は例外なく後者のような方だからです。
複数の方に見てもらうのは、技術士の方でもお 1 人ずつ専門、経験、興味の中心などが異なるので、同じ 1 つの業務詳細を見てもらっても、ある方は「これは業務詳細としてよくできている。十分に合格レベルだ。」と仰るのに他の方は「これは業務詳細としては全然だめだ。これでは不合格だ。」と仰るなど、最重要点についてさえ正反対の御意見を頂くこともしばしば出てくるからです。つまり、個々の技術士の方の仰ることが必ずしも一致せず、また必ずしも正しいとは限らないからです。
なお、次の [1] は [2]、[3] と関連するので、[1] を見ていただくときには [1] だけでなく受験申込書の全体を併せて見ていただくのがよいと思われます。
[1] 業務詳細[2] 技術部門、選択科目、専門とする事項 [3] 業務経歴票の記入内容 (ス) 自力による十分な吟味 しかし、技術士の方に見てもらったからこれで大丈夫だと安心するのは早計ですし、技術士の方に見てもらう機会がないと言って嘆く必要もありません。なぜなら、技術士の方も、上記のように御自分の専門、経験、興味の中心などに基づいて最も重要と思うことをしかも限られた時間の中で指摘してくださるのみであり、全てについて完璧な視点から指摘していただくことを期待するのはそもそも無理だからです。上記 3.2、(3)、(c)、(ス) に示したように、複数の方に見て貰った場合最重要点についてさえ正反対の御意見を頂くこともしばしば出てくるからです。
しかし、自分で次の (i)〜(xi) のような点について細部にわたってよくよく吟味すれば問題点は自ずと見えて来ます。また、上記のように正反対の御意見をいただいた場合でもどちらが正しいのかを自分で判断し改善することができます。また、そのようにして多くの点についてよく吟味しておいた方が口頭試験で思いがけない質問をされたときにうろたえないで対応できます。
(i) この業務詳細はこの技術部門、選択科目、専門とする事項に合致しているか。(ii) この業務詳細はこの業務経歴に合致しているか。 (iii) 自己技量成果を得た過程を明確に示せているか。 (iv) 明らかな技術的誤りはないか。 (v) 論旨展開に飛躍、誤りはないか。 (vi) 見出しは適切か。 (vii) 冗長表現の回避、用語の統一、改行の配置など文章推敲が不十分な箇所はないか。 (viii) 句読点、括弧記号、空白スペースなど文字推敲が不十分な箇所はないか。 (ix) 日本語として文法的誤りはないか。 (x) 日本語として分かりやすいか。 (xi) 日本語として迫力、説得力があるか。 自分で吟味するときに大切なことは、次の (α)〜(δ) です。 (α) 見ず知らずの赤の他人がこの業務詳細を書いたと思って吟味する。 (β) 書いてある文字だけによって内容を理解できるかを吟味する。 (γ) 一字一句を全て吟味する。 (δ) 誤りやごまかしを 1 つでも多く見つけ出す積もりで吟味する。 間違っても、自分の業務詳細だと思って読まないことです。
技術士の方に見ていただくことは、問題点を洗い出すよいきっかけにはなりますが自分で十分に吟味することには遥かに及びません。自分で十分に吟味することだけが漏れのないかつ抜本的な改善を可能にすると思われます。
また、業務詳細を完成した後に、次の [1] が [2]、[3] と整合的であるか否かについても、再度自分で十分に吟味することが重要と思われます。
[1] 業務詳細[2] 技術部門、選択科目、専門とする事項 [3] 業務経歴票の記入内容 (セ) 自己技量成果への不言及 なお、自己技量成果を受験申込書に何も書かず口頭試験でも何も説明しないで 3.2、(8)、(b)、(キ)、(i)〜(vi) のようなこと(以下、これを「単純実施成果」と称します。指示に基づいて業務を単純に実施した成果という意味です。)のみを書いてかつ口頭試験でも単純実施成果のみ説明すると合格しないということでは、当然ながら、決してありません。そのようにしても実力があれば全く何の問題もなく合格すると思われます。
ただ、多くの方は合格基準すれすれかそれより僅かに上下の範囲にいますのでそのような実力の方が 2 人いて、1 人は自己技量成果を書いて説明し、他の 1 人は単純実施成果のみを書いて説明したとすると、自己技量成果を書いて説明した方のほうが評価つまり合格する確率が遥かに高くなると思われます。
3.3 受験申込書についてのその他の留意点
3.3.1 当該年度の受験申込書の使用 |



