(2027.07.28 更新)
(2027.07.17 更新)
(2026.04.23 更新)
総合技術監理部門 (3)記述式問題論文の書き方
(本ページは総監の記述式問題についてのみ記載しています。)
総監以外の筆記試験は こちら
総監の口頭試験は こちら
1. 記述式問題の性質と筆記試験の重要性
1.1 記述式問題の性質
記述式問題では、同一の答案を複数の採点委員が採点した場合、採点結果が各採点委員の専門、経験、興味の中心などにより微妙に異なります。これは、記述式問題が有する根本的矛盾です。
しかし、総合技術監理能力の評価のためには記述式問題が欠かせないため、総合技術監理部門(以下、これを「総監」と称します。)の技術士試験には記述式問題が不可欠であるというのは動かせざる大命題ですので、この大命題の前には、採点結果が採点委員ごとに微妙に異なるという些細な矛盾など全く拘るに値しないと思われます。もし、この矛盾に拘るのであれば、技術士試験に限らず世の中に記述式問題は一切存在し得ないことになります。さらに、これはあくまで推測ですが、公益社団法人日本技術士会では、1 人の受験者の記述式問題答案を複数の採点委員が採点して、得られた複数の得点の平均値をその受験者の得点とするなどの対策を講じることにより、この欠点の軽減に可能な限り努めているのではないかと推測されます。
したがって、記述式問題解答では、そのような矛盾に打ち勝つ、優れた答案を書く必要があります。
1.2 筆記試験の重要性
第二次試験の筆記試験の重要性については十分な認識が必要と思われます。
口頭試験の合否判定においては筆記試験の得点は考慮されません。つまり、筆記試験を優秀な成績で合格しているか 60 % すれすれで合格しているかは、口頭試験の合否判定には何ら影響しません。
しかし、口頭試験の合否判定を行う直前の段階つまり口頭試験実施の段階では必ずしもそうだとは言い切れないと思われます(口頭試験受験上の留意点については
「技術士第二次試験講座 (3)口頭試験合格法」を御覧ください。)。
試験委員は筆記試験の得点を見て口頭試験を行います。もし筆記試験の得点が 60 % すれすれであった場合は、試験委員は口頭試験を始める前に「本当に実力があるのかな。ひょっとしたらまぐれで筆記に合格したのではないか。よく確かめてみよう。」と思うに違いありません。そのような得点の受験者についてそのようによく確認することは口頭試験の本旨から見ても大切なことですし、試験委員の心情としても当然です。そのため、60 % すれすれの場合は口頭試験での質問が勢い記述式問題の答案に見られる問題点の急所を突いた厳しいものとなる可能性が高いと思われます。これは、致し方ありません。
一方、筆記試験の成績が優秀であった場合は、試験委員もある意味で一目置いて質問するので、重箱の隅をつつくような質問が少なくなり口頭試験がかなり楽になります。「試験委員はただ解答を聞くだけであり解答内容に対する重ねての質問はなかった。」、「しっかり準備して行ったのに気抜けするような質問ばかりだった。」、「答案に関する質問も業務経歴に関する質問も殆どなかった。」などの受験感想を述べる方がかなりおられますが、そのような方は例外なく合格しておられます。そのような口頭試験になるのは、筆記試験の成績が優秀であるため口頭試験で確認しなければならない事項が特にないと試験委員が考えたからではないかと推測されます。
つまり、口頭試験で合格、不合格のいずれとなるかの大勢は(あくまで「大勢は」ですが)口頭試験当日の受け答えによって決まるのではなく口頭試験前日までにほぼ決まっているものと推測されます。
その意味で、筆記試験に対する充分な準備を行うことは、筆記試験に合格するためだけでなく、口頭試験に合格するためにもたいへんに重要であると思われます。
2. 解答時間
総監の記述式問題の解答時間(制限時間)は、3 時間 30 分です。
3. 受験準備
3.1 問題予測
筆記試験問題については、次の (ア)〜(ウ) のような、具体的場面あるいは問題を提示しそれへの対応を問う問題が出題される可能性が高いのではないかと推測されます。
(ア) ○○を製造する場合の△△の品質管理について、総合技術監理の視点から、留意すべき点を述べよ。
(イ) あなたは○○分野に責任者として取り組むこととなった。○○のうちの△△について、総合技術監理の視点から、実施方針を作成せよ。
(ウ)「○○の指針」が改正され△△という項目が新設された。△△に関する関係者との調整方策について、総合技術監理の視点から、具体的提案を述べよ。
そして、(ア)〜(ウ) の「○○」、「△△」の部分がかなり詳細、複雑に設定されるものと思われます。
3.2「キーワード集」の理解
3.2.1 理解の重要性
条件設定を満たす答案を書くためには、当然ですが、総監の実質上の公式テキストである「
総合技術監理 キーワード集 2026 」(文部科学省)(以下、これを「キーワード集」と称します。)をよく理解していなければなりません。「キーワード集」の理解が、まず根本的に重要であると思われます。
3.2.2 管理技術の構成要素の理解
「情報管理について述べよ。」のように管理技術を指定されることも十分に予想されますが、その指定された管理技術の内容が瞬時に閃かなければよい解答を書くことは困難です。構成要素とは「キーワード集」の 2 桁見出しです。例えば情報管理であれば、次の 5 つです。
4.1 情報分析と情報活用
4.2 コミュニケーション
4.3 知的財産権と情報の保護と活用
4.4 情報通信技術動向
4.5 情報セキュリティ
そのために、構成要素の一覧を前もってよく覚えておきます。
3.2.3 重要キーワードの理解
記述式問題で高得点を得るためには記述式問題の答案にキーワードを入れ込むことが有効ですが、そのためには入れ込むべきキーワードが瞬時に閃くようになっていなければなりません。どのような用語がキーワードなのか、キーワードの一覧を前もってよく覚えておきます。特に、最適化、最適解、トレードオフ、俯瞰、リスクマネジメントなどの重要キーワードはよく覚えておきます。
3.3 答案作成練習
過去問題による答案作成練習は、総監以外の部門(以下、これを「一般部門」と称します。)のそれと同じです。一般部門の
3.2 答案作成練習 を御覧ください。
3.4 指の訓練
指の訓練は、一般部門のそれと同じです。一般部門の
3.3指の訓練 を御覧ください。
3.5 経験の整理
過去の自分の経験に基づいて述べるように求められる可能性があるので、各管理技術について成功例 1 つ、失敗例 1 つの計 2 つずつ程度の経験をまとめ、記述できるように準備しておきます。また、最適化、最適解、トレードオフ、俯瞰、リスクマネジメントなど重要キーワードに関するものについてはこの準備例の中に必ず入れておきます。
ただ、失敗例については、いかにも軽率な失敗例や取り返しのつかない失敗例は避け、当時の技術レベルでは不可抗力に近い失敗例、その後の対応で何とか回復できた失敗例、その失敗を教訓にして大きな前進を得ることができた失敗例など、展望の持てる失敗例に限るのがよいと思われます。
これは口頭試験においても役立つものなので、少し数が多いですがしっかり準備するのがよいと思われます。
4. 試験会場での解答
4.1 時間配分
記述式問題の解答時間(制限時間)は 3 時間 30 分ですが、この 3 時間 30 分を次の項目に分けて時間配分を考えます。
(ア) 受験番号などの記入 3 分程度
(イ) 枚数確認 4 分程度
(ウ) 条件設定確認 10 分程度
(エ) 構想立案 30 分程度
(オ) いや、待てよ 5 分程度
(カ) 解答文執筆 150 分程度
(キ) 査読 4 分程度
(ク) メモ作成 3 分程度
(ケ) 受験番号などの確認 1 分程度
4.2 解答文作成上の留意点
4.2.1 意気高い取り組み
意気高い取り組みは、一般部門のそれと同じです。一般部門の
4.2.1 意気高い取り組み を御覧ください。
4.2.2 受験番号などの記入
受験番号などの記入は、一般部門のそれと同じです。一般部門の「
4.2.2 受験番号などの記入」を御覧ください。
4.2.3 枚数確認
枚数確認は、一般部門のそれと同じです。一般部門の
4.2.4 枚数確認 を御覧ください。
4.2.4 条件設定確認
(1) 条件設定確認
(2) 条件設定が複雑な理由
総監の記述式問題では
3.1 の「○○」、「△△」の箇所が微に入り細をうがち、複雑を極めます。つまり、条件設定に合致した解答を書くのは容易ではありません。このように複雑を極める理由は、推測の域を出ませんが、次のようではないかと思われます。
総監が発足してかなりの期間が経過しましたが、近年の総監の合格率は 10 %強でありこの程度を維持することが総監の性格から見て妥当となってきたようです。したがって、総監では受験者のうちの優秀者上位 10 % 強を正確に選び出す必要があります。
「技術士試験の概要」の 3 によると択一式問題と記述式問題の合計で 60 % 以上(つまり、60 点以上)が合格となっており、択一式問題では多くの方が正解率 60 %〜80 % 程度のようですので、仮に 70 %(つまり、50 点満点で 35 点)とすると、この 35 点は固定された変更することができない値となります。そのため、残りの 25 点(=60点−35点)で実質的な合否判定をしなければなりません。つまり、上位 10 %強を正確に選び出したいにも関わらず、単純平均で 1 点当たりに 4 %(= 1 点÷25点×100)という極めて多くの方が存在するわけです。しかも、多くの方は合否すれすれ付近であると思われますので、この付近の 1点当たりには単純平均より遙かに多くの方が存在します。
したがって、優秀者上位 10 %強を正確に抽出するためには合否すれすれ付近の 1 点当たりの人数を少なくすることがどうしても必要であり、そのためには問題の難度を上げるしかありません。もちろん、問題の難度を上げることは優秀な技術者を総監の合格者とするという総監本来の目的にもよく合致している訳です。
このような理由によって総監の条件設定は複雑を極めていると推測されます。したがって、総監の記述式問題は条件設定との戦いであり、合格するためにはこの難題に打ち勝たなくてはならないと思われます。
(3) 総合技術監理の本質の把握
総合技術監理は、「キーワード集」の「1.総合技術監理」に記述されているようなことですが、語弊を恐れず1 言でその内容を言えば、総合技術監理とは総合的な矛盾解決であると筆者は考えます。
「矛盾」とは、解決を迫られている問題であり、例えば次の (ア)、(イ) のようなことです。
(ア) 会社の規模が小さいため優秀な人材が集まらず、そのため業務の実施に支障が生じており業績も頭打ちになっている。
(イ) 少子高齢化が進んでおり、これが日本の経済成長に負の影響を与えている。
総監技術士に求められる能力は、矛盾を 5 つの管理技術により全体最適が得られるように解決する能力であると思われます。
(4) 問題文の本質の把握
(a) 試験委員が矛盾と考えている事項の説明
総監記述式問題の問題文は長文かつ複雑ですので、その字面だけに捕らわれると一体何を問題文が言っているのか、何を解答すればよいのかが見えにくくなります。問題文の前半は、作問委員が矛盾と考えている事項の説明です。ときには、どの様な矛盾が生じるかを受験者に想定、推測させる場合もあります。ですから、作問委員は何を矛盾と考えているのかという観点で問題文を読むと、問題文の意味がよく見通せると思われます。
(b) 矛盾の解決方法の指定
問題文の後半は、上記の矛盾について解決方法の指定です。矛盾の解決には一般に多種多様の方法が考えられるためそのうちのどれを書いても本来は正解なのですが、受験者がどの程度の理解力を有しているかの確認を容易にする(つまり、答案を採点しやすくする)ために作問委員は解決方法を詳細に指定します。ですから、作問委員は何を解決方法として指定しているのかという観点で問題文を読むと、問題文の意味がよく見通せると思われます。
4.2.5 構想立案
構想立案は、一般部門のそれと同じです。一般部門の
4.2.6 構想立案 を御覧ください。
4.2.6 いや、待てよ
いや、待てよは、一般部門のそれと同じです。一般部門の
4.2.7 いや、待てよ を御覧ください。
4.2.7 解答文執筆
(1) 解答文執筆
(2) 総合技術監理の視点からの記述
問題文中には、条件設定の 1 つとして、通常、次の (a)、(b) のような指示文があります((a) は「令和 7 年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕必須科目」から、(b) は「令和 6 年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕必須科目」から、それぞれ引用。)。
(a) 総合技術監理の視点から以下の(1)〜(2)の問いに答えよ。また,ここでいう総合技術監理の視点とは,トレードオフに留意しながら,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。
(b) 総合技術監理の視点から以下の(1)〜(2)の問いに答えよ。また,ここでいう総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。
上記 (a)、(b) は、具体的には、次の (ア)〜(エ) を意味していると解されます。
(ア) 経済性管理、安全管理、人的資源管理、情報管理、社会環境管理の 5 つの用語のうちの少なくとも 1 つは、解答文中に記入する。ただし、多いと散漫になるので、多過ぎないように注意する。
(イ) (ア) で記入した管理技術以外の管理技術についても十分配慮していることを、解答文中に示す。
(ウ)「キーワード集」に収録されたキーワードのうちの「トレードオフ」は、必ず、解答文中に記入する。
(エ)「トレードオフ」以外に、「キーワード集」に収録されたキーワードのうちの少なくとも1つは、解答文中に記入する。ただし、多いと散漫になるので、多過ぎないように注意する。
したがって、解答文は、常に上記 (ア)〜(エ) によく留意して記述します。
4.2.8 査読
査読は、一般部門のそれと同じです。一般部門の
4.2.9 査読 を御覧ください。
4.2.9 メモ作成
メモ作成は、一般部門のそれと同じです。一般部門の
4.2.10 メモ作成 を御覧ください。
4.2.10 受験番号などの確認
受験番号などの確認は、一般部門のそれと同じです。一般部門の
4.2.11 受験番号などの確認 を御覧ください。
5. べからず(NG)3 項目とその回避
べからず(NG)3 項目とその回避は、一般部門のそれと同じです。一般部門の
5. べからず(NG)3 項目とその回避 を御覧ください。
6. 真の実力の養成
真の実力の養成は、一般部門のそれと同じです。一般部門の 6. 真の実力の養成 を御覧ください。
7. 最も重要な条件設定
7.1 合格基準
御承知のように、総監の合格基準は択一式問題と記述式問題の合計で「60 %以上の得点」です。また、近年の総監の合格率は 10 %強です。これらのことは、合計で「60 %以上の得点」の者を合格させたら近年は合格率が 10 %強に落ち着いたという明白かつ厳然たる事実を示しています。
ただ、受験準備を進める側から見た場合はいくつかの異なる見方も可能です。その1つとして、択一式問題と記述式問題の合計で上位 10 %強に入ることが唯一の合格基準だと考えることも可能です。
アートプランでお聞きしたところでは択一式問題は 60〜80 %の正解率の方が多いようですので、今仮に受験者全体の択一式問題平均正解率が 60 % であるとします。すると、どの様な得点分布になっているかを無視した荒っぽい議論ですが、択一式問題で 60 %正解すれば択一式問題では全受験者のうちの概ね上位から50 %付近にいると考えて大きな間違いはないと推測されます。
0.5×0.3=0.15(=15 %≒10 %強)ですから、記述式問題でこの上位 50 %のうちの上位 30 %に入れば、全受験者の 10 %強にほぼ入ることになり合格することになります。
しかし、総監受験者のほぼ全員が一般部門の技術士資格を有しているため総監受験者の文章力はほぼ横一線であり大きな差はないと推測されるので、択一式問題で 60 %正解した受験者のうちの上位 30 % に入るのは至難の業であると推測されます。
7.2「特に重視する」への合致
7.2.1 正解の存在
一般に、記述式問題においては、作問委員が「法令、条約、国際規格、確立されかつ広く認められている理論などに基づけば、これが正しく、これ以外は正しくない。」と考える事項(以下、これを「正解事項」と称します。)が存在し、作問委員は、当然ながら、正解事項を解答論文中に挙げて書くことを求めます。したがって、正解事項を挙げて書かなかった場合は、当然ながら、不合格となります。例えば、次の (a)、(b) の問題では、「正解事項」は次のとおりです((a) は令和 7 年度技術士第二次試験問題 〔機械部門〕1-1 機械設計【選択科目II】 から、(b) は令和 7 年度技術士第二次試験問題 〔応用理学部門〕17-3 地質【選択科目II】 から、それぞれ引用。)。
(a) II-1-2 高サイクル荷重を受ける金属製の機械構造部材の疲労強度設計手順について述べよ。
上記 (a) では、「高サイクル荷重を受ける金属製の機械構造部材の疲労強度設計手順」が確立されかつ広く認められている理論であり、 (a) の正解事項は、確立されかつ広く認められている「高サイクル荷重を受ける金属製の機械構造部材の疲労強度設計手順」です。作問委員は、この正解事項を挙げて書くことを求めています。
(b) II-1-3 土壌汚染対策法の第2種特定有害物質に指定されている自然由来重金属等を2つ挙げよ。また,それらの2つについて,多く含まれる地質条件と自然由来重金属等の含有や溶出に関わる特徴をそれぞれ述べよ。
上記 (b) では「土壌汚染対策法」が法令であり、(b) の正解事項は、「土壌汚染対策法」第2条、「土壌汚染対策法施行令」第1条、「土壌汚染対策法施行規則」第4条第3項第2号、ロに示される第2種特定有害物質のうち自然由来のものです。作問委員は、この正解事項を挙げて書くことを求めています。
このように、一般に、記述式問題においては、正解事項が存在し、作問委員は正解事項を挙げて書くことを求め、それを書かなかった場合は不合格となります。
7.2.2「特に重視する」の重要性
総監の記述式問題の問題文中には、条件設定の 1 つとして、通常、次の (a)、(b) のような指示文があります((a) は令和 8 年度技術士第二次試験問題 〔総合技術監理部門〕必須科目 から、(b) は令和 6 年度技術士第二次試験問題 〔総合技術監理部門〕必須科目 から、それぞれ引用。)。
(a) なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。
(b) なお,書かれた論文を評価する際,考察における視野の広さ,記述の明確さと論理的な繋がり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。
上記 (a)、(b) は、論文を評価する基準を明確に示しています。つまり、どのような論文の得点が特に高いかを、また どのような論文ではまず合格は無理であるかを、明確に示しています。その意味で (a)、(b) は大変重要な条件設定です。
つまり、(a)、(b) は、採点基準は、正解事項を挙げて書いているか否かではなく、(a)、(b) であるということです。つまり、条件設定をあまりにも微に入細をうがつものとしたため、正解事項は存在しないということです。
これは、にわかには信じがたいですが、(a)、(b) から見る限り、事実です。
7.2.3「特に重視する」具体的内容
上記 7.2.2、(a)、(b) は、具体的には、次の (a)、(b) を意味していると解されます。
(a)「視点の広さ」
「視点の広さ」「を特に重視する」とは、広い視点からの検討を行っている論文の得点が特に高いことを意味すると推測されます。つまり、発想の柔軟性、検討の多様性を示す論文の評価が特に高いことを意味すると推測されます。
(b)「記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまり」
「記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する」とは、日本語文法的誤りがなく、文意が明確であり、論旨が一貫しており、迫力がある論文の得点が特に高いことを意味すると推測されます。
したがって、上記 (a)、(b) によく留意します。語弊を恐れず言えば、(a)、(b) に合致することだけを目指して記述します。
7.2.4「特に重視する」への合致
特に、7.2.3、(b) については誤解があるのではないかと懸念されます。
総監受験者の殆どは一般部門の技術士資格保有者ですので、もし総監の記述式問題の採点が一般部門のそれと同程度の厳しさで行われているのであれば、択一式問題で 60 % 以上正解した受験者の全員が記述式問題に合格するはずです。しかし択一合格者のうちの上位 30 %程度の受験者しか記述式問題に合格しないという 7.1 の事実は、総監の記述式問題の採点が一般部門のそれに比べて恐ろしく、想像を絶するほど、厳しく行われていることを示しています。にわかには信じがたいですがこれは事実です。30 %という数値が証明しています。
このように厳しく採点するためには、試験委員は当然ながら次の (ア)〜(ウ) に強く留意して採点を行っているものと推測されます。
(ア) 条件設定に合致しているか。
(イ) 視点の広さを十分に有しているか。
(ウ) 日本語文法的誤りがなく、文意が明確であり、論旨が一貫しており、迫力があるか。
上記 (ア) については、これに少しでもたがうと不合格となるため皆様よく御留意ですので、(ア) ではまず優劣はつかないと推測されます。
上記 (イ) については、皆様よく御留意ですので、(イ) でもまず大きな優劣はつかないと推測されます。
結局、択一式問題で 60 % 正解した受験者のうちの上位 30 %程度しか記述式問題に合格しないという大きな優劣の差(7.1)を生じるのは、(ウ) であると推測されます。語弊を恐れずに申し上げれば、試験委員は最終的にはほぼ (ウ) のみに注目して採点していると推測されます。試験委員は「このような日本語を書く人はどんな人だろうか。」と常に問いかけながら採点していると推測されます。
しかし、受験者の側には「これまで業務で何十通も何百通も日本語の文書を書いてきたんだ。日本語くらい書けるよ。なめんなよ。」という気持ちがどうしても働きます。そのため、(ウ) はたいへん大きな対策不十分箇所、落とし穴になっているのではないかと推測されます。
したがって、記述式問題解答執筆にあたっては、「日本語くらい書けるよ。」と いう気持ちをきっぱりと捨てて、日本語を大きく改善することが重要です。一般部門を受験されたときよりも格段に日本語文法的誤りがなく、論旨が一貫しており、文意が明確であり、迫力がある日本語を書くように御留意いただけますと高い得点を得られるものと推測されます。
8. 合格を確実にするために
しかし、7.1、合格基準に示すように、総監受験者のほぼ全員が一般部門の技術士資格を有しているため総監受験者の文章力はほぼ横一線であり大きな差はないと推測されるので、記述式問題で上位 30 % に入るのは容易ではないと推測されます。勿論、6. 真の実力の養成 などにより文章力を向上させればよいのですが、短時間の準備ではそれも容易ではありません。
では、半年程度の短時間の準備で記述式問題で上位 30 % に入るにはどうするか。それは、3.2〜3.5 の準備は当然行いますが、それ以外に、試験当日に、あらん限りの力を振り絞って全力で答案を執筆するということに尽きると思われます。神経をピリピリさせながら問題文を読み、頭脳を全速回転させて構想立案を行い、知識と技術の全てを投入して文章化します。頭の中を冷たい嵐がごうごうと渦巻くくらいに集中して解答します。そのようにすれば、試験前に過去問題でのんべんだらりと練習していたときの(つまり、普段の実力の)何倍も、何十倍も素晴らしい答案を書くことができます。つまり、横一線から抜け出して記述式問題で上位 10 %強に入ることができます。
つまり、記述式問題の合否を決するのは、試験前日まで多くの時間をかけて記述式問題の練習をすることではなく、試験当日に試験会場で震えるほどの緊張感の中でエネルギーを爆発させるということであると思われます。
このような力は、合格したいという強い気持ちから生まれます。その気持ちの強い者が上位 10 %強に入り、合格することになると思われます。
9. 筆記試験準備の総合的方向性
したがって、 総合技術監理部門 (2)択一式問題勉強法、総合技術監理部門 (3)記述式問題論文の書き方 を総合すると、筆記試験合格のためには、択一式問題は試験前日までの時間のほぼ全てをこれに当てて周到に準備することが、記述式問題は試験当日に試験会場でエネルギーを爆発させることが、それぞれ合格の要諦であると思われます。